トヨタマリンでは、2019年12月に、31フィートのフライブリッジセダン「ポーナム31」に、内装などのグレードアップを図った「ポーナム31 X仕様」を発表した。トヨタマリンとして最初にリリースされたポーナム28の系譜を受け継ぐ、マルチパーパスモデルである。
コロナ禍の影響などもあり、このポーナム31Xのインプレッション取材ができたのは、発表から1年後の2020年10月となったが、その際、2020年夏に発表された新オプション「TDS(トヨタ ドッキング サポート)」のデモンストレーションも取材できたので、その概要をご紹介しよう。

トヨタマリンでは、主機とバウスラスターを組み合わせ、横方向への移動や定点保持を目的とした操船支援システムTVAS(トヨタ・バーチャル・アンカー・システム)を開発し、2005年に発表されたポーナム45から搭載を開始。この技術を応用したのがTDSで、「ドッキングアシストモード」による動きは、下の連続写真をご覧になればおわかりいただけるだろう。

- 着桟ポイントから離れた地点でTDSを作動させると、ポイントに向かって直進で接近。なお、実際には、写真のフレームから外れたもっと遠い場所からスタートした
- 着桟地点の手前まで接近したところで一旦停止
- 右舷機・前進、左舷機・後進、バウスラスター左転により、桟橋と平行になるよう、その場回頭する
- 桟橋と平行になったところで、操作パネルに周囲の安全確認を促すダイアログ(下画像)が表示される。「着岸開始」を押すと再スタート
- 2基の主機の前後進とバウスラスターの推力を組み合わせ、桟橋に向かってごく微速で横移動
- 着桟完了。完了後も、しばらくは桟橋に押し付けるように推力が出続けるので、シングルハンドでも余裕をもって舫いをとる時間がある

ちなみに、着桟地点は、あらかじめ複数のポイントを登録可能。それらの正確な測位や、自動操船中の艇のヘディング把握には、一般的なGPS機器ではなく、GNSS(複数のシステムを併用することにより高精度測位を実現する衛星測位システム)対応の衛星測位コンパスを採用している。下の写真は、フライブリッジの操船席脇に設置された受信用アンテナだ。
取材時は、風速3m/s程度の穏やかなコンディションで、非常にスムーズな動きを見せていた。開発担当者によれば、風速8m/sのときにも問題なく作動したとのこと。
なお、TDSの機能には、ジョイスティックでは案外難しい横移動を含めた艇の位置の微調整を、タッチパネルでより的確に操作するための「サイドスラストモード」もある。
というわけで、十分な実用性と完成度を備えたこのシステムは、苦手意識を持つ初心者はもちろんのこと、ベテランのシングルハンダーにとっても、着桟時の負担を大幅に軽減してくれそうだ。
初めて行く場所の地点登録が可能になったり、直角に曲がる櫛形桟橋への自動着桟ができるようになったりという、さらなる進化にも期待したいところで、今後の開発にも要注目だ。
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ポーナム31Xの試乗/TDSの解説は、月刊『Kazi』2021年1月号、月刊『ボート倶楽部』2021年2月号にも掲載しているので、そちらもぜひご覧いただきたい。
ポーナム31とTDSの詳細は、トヨタマリンの公式サイトをチェック。
(文・写真=舵社/今村 信)







